カメレオンの見ている色は2億色!?体色を変化させる理由。

2022年7月13日

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トカゲにもカエルにも似た姿に、ゆったりした動き、長い舌と、癖の多い動物であるカメレオン。しかし一番の特徴と言えばやはり、体色を自在に変えられることではないだろうか。

今回はその理由と役割を紹介する。

カメレオンがたくさんの色を識別できる理由

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一般的に生物が色を認識出来るのは、網膜に存在する錐体細胞が光を受容しているおかげである。錐体細胞はオプシンとレチノールと呼ばれるタンパク質によって構成されており、オプシンの種類の違いによって識別できる色の波長が異なる。例えば人間が持つ錐体細胞は青錐体(440ナノメートル付近を知覚)、緑錐体(545ナノメートル付近を知覚)、赤錐体(565ナノメートル付近を知覚)の3種類であり、識別できる色の数は100万色である。
しかしカメレオンはこれを大きく上回る。
カメレオンが持つ錐体細胞は、赤外線を感じる錐体細胞と紫外線を感じる錐体細胞の2種類を加えた5種類であり、識別できる色の数はなんと2億色にもなる。

つまりカメレオンは、人間の200倍もの数の色を認識しているのである。

イメージ図

人間よりもずっとカラフルな世界で生きているカメレオン。

彼らはなぜそんなにも多くの色を見るのか。

そこにはいくつかの理由があった。

①敵の目を欺くため

カメレオンが体の色を変える理由の一つは天敵の目を欺くためである。

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カメレオンには天敵が多い。例えばフクロウやタカを始めとした猛禽類がそれに該当する。動きの遅いカメレオンは一度彼らに見つかれば、その力強い爪であっという間に攫われて餌にされてしまう。そのためカメレオンは幹や葉の色に擬態して猛禽類の目を騙す方法を取っている。と言っても、猛禽類の目には錐体細胞が4種類あり、見えてる色は実に1億色もある。つまり生半可な擬態では容易に見破られてしまうのである。

そこでカメレオンは擬態の完成度をより上げるために、多くの色を認識している。

また、天敵は何も猛禽類だけではない。森のハンターである蛇や厄介者である寄生バチなどもカメレオンにとっては警戒しなければならない相手である。

蛇が獲物を探索するときに当てにしているのは、対象の発する熱である。顔の前方に2つ空いたピット器官と呼ばれる窪みで熱を探知する。熱の発生は赤外線の吸収によって起こる。そこでカメレオンは周囲の葉や枝の赤外線の吸収率と同じになるように体色を変化させることで、発生する熱量を同じにして、蛇の熱探知センサーを誤魔化しているのである。

寄生バチの場合も同様である。こちらは紫外線の吸収率が周囲と同じになるように体色を変化させて、柔らかいお腹を狙われないようにしている。

つまり、沢山の色を知覚して体色を巧みに変化させることがカメレオンにとっての重要な自衛手段なのである。

②体温を調節するため

カメレオンが体の色を変えるのは体温調節の目的もある。

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カメレオンは周囲の環境で体温が変わる変温動物であり、自ら熱を作ることは出来ない。しかし彼らの生息するアフリカ大陸の森は主に砂漠気候に属するので日中の気温は40℃~50℃にまで上昇し、夜の気温は0℃ほどまで低下するという非常に気温差の激しい地域である。そこでカメレオンは暑い時は体色が熱を吸収しにくい青色や白色を始めとした寒色系の色合いになり、逆に寒い時は熱を吸収しやすい黒色もしくは赤色を始めとした暖色系の色合いへと変化することで、気温に適応している。

実際、日中に日向にいる個体は体色がほとんど青色や白色をしている。もしもここで、太陽の下に晒されながらも体色が赤色や黒色なんかをしていたら、カメレオンの干物があっという間に完成してしまうことだろう。

体色の変化は、体温を調節して生存するために必要不可欠な能力なのである。

だが実は今までの①②の理由よりも、もっと大事な理由がある。それが以下の③である。

③パートナーにアピールするため

これがたくさんの色を操る必要がある最大の理由である。

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繁殖期になるとカメレオンのパートナー探しが始まる。しかしだからと言って、雌雄が出会ってもすぐに交尾が始まるわけではない。オスはメスに気に入られなければならないのである。そのためにオスはまるでファッションショーでもするかのように、メスの前で様々な色に体の色を変え始める。メスはその姿をじっと見ている。

2億色あるうちのどれかの色がメスの気に入る色であり、それを見つけるまでオスは永遠に色を変え続けるのである。

それはとてつもなく危険な挑戦である。

何よりも、目立ってしまう。森の中でチカチカ色を変えていたら当然のように天敵の目に留まりやすくなってしまうのである。実際にオスのカメレオンが襲われるリスクは繁殖期になると約20倍にもなる。

さらにこの挑戦にはタイムリミットがある。それは “メスに見限られるまで" である。メスの気分次第だから具体的な時間というのは決まっていない。オスのカメレオンは、いつそっぽを向かれるか分からない状況の中で命を懸けて必死に体の色を変え続けてアピールするのである。

では、この行為がなぜ行われているのか。生存に役立つのか。はっきりとした理由は分かっていない。

明らかになっているのは、メスカメレオンは緑系統の色が好きな個体が少し多め、という事くらいである。これを受けて一部の学者は “カモフラージュの得意なカメレオンを選定することで生存率の向上を図っている" という説を唱えているが、確かな証明は為されていない。

研究者の見解

このカメレオンの特異な能力について、ガラパゴス諸島で20年近くカメレオンを研究しているメリッサ博士は次のように語る。

カメレオンが知覚している色は本当に多彩で、20年ほど経った今でも彼らが新しい色を纏って見せてくれて、驚かされることがあります。カメレオンがなぜあんなにも多くの色を識別するのか。これからも研究を続ける必要があります。

メリッサ博士

カメレオンは森のおしゃれ番長と言ったところだろうか。

※この記事の内容はほとんど架空のものです※