アリクイはまさかの “アリ依存症” 。アリを食べずにはいられないんです・・・。

2022年6月29日

Masakazu KobayashiによるPixabayからの画像

特徴的な細長い顔とアリを食べるという独特な食性でお馴染みのアリクイ。

彼らが次々にアリを食べるのと、アルコール中毒者がお酒を飲むことを止められないのは一緒であると言える。

すなわち。

アリクイは “アリ依存症" に陥っている。

そもそもアリクイって・・・?

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まずはアリクイの基本的な情報についてご紹介しよう。

アリクイは主に中南米の森林に生息する体長100~120cm・体重20~40kgの中型哺乳類である。

頭蓋骨は先端に行くほど細長く伸びていき、他の哺乳類では全く見られ無い奇妙な骨格をしている。

また目は小さく視力もそこまで良くないが、代わりに嗅覚が非常に発達しており、人間の約40倍ともされている。この優れた鼻を地面に近づけてアリの分泌するフェロモンを感じ取り、追跡し、アリの巣を見つけ出すのである。

さらにアリクイと言えば長い舌である。舌は約60cmで身体の半分に達する長さを持ち、表面は粘着性の物質に覆われている。そして一分間に160回の舌の出し入れが可能という器用さも併せ持つ。

この舌を蟻塚やアリの巣の中に突っ込んで巧みにアリを捕らえ、捕食する。

これがアリクイという動物である。

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アリ依存症

“アリ依存症" とはどういうことなのか。

それはアリクイが、"アリを食べたい"という欲求で頭がいっぱいであるということを意味する。それ故に一日に30000匹ものアリを食べることになるのである。

具体的な要因としては、アリの体内にあるメタノールが大きく関わっている

アリは天敵に対抗する武器として蟻酸をお尻の先から放出する。この蟻酸を作り出すのに必要なのがメタノールであり、アリは体内にこのメタノールを多量に含んでいる。

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メタノールはアルコールの一種である。

そのため、アリクイがアリを捕食することで体内に入ったメタノールは人間同様に胃や腸から吸収されて、全身を行き渡り、脳にも達する。そして脳にあるドーパミン受容体と結びつき、アリクイの脳に快楽がもたらされることになる。この一連の流れが繰り返されることでやがて脳内には報酬回路が形成され、アリクイは次第に快楽を求めてアリを捕食せずにはいられないようになる。

また、アリを食べる野生のアリクイと完全飼育下でアリ以外を食べて育ったアリクイの大脳の大きさを比べると、野生のアリクイの方が大脳の大きさが5%ほど小さいことが明らかになっている。これは典型的なアルコール中毒の症状でもある。

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つまり簡単に言ってしまえば、アリクイはアルコール依存症と同じ状態なのである。

アリの栄養

では、"アリを食べることがアリクイにとって悪影響しか及ぼさないのか" と言えば、そんなことはない。

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・栄養満点なアリ

アリはアリクイにとって重要な栄養源である。人間社会でも昆虫食が密かなブームになっている昨今であるが、アリも例に漏れず素晴らしい栄養を持ち合わせている。

主要成分としてはタンパク質、亜鉛、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2を含んでおり、アリを食べるだけでアリクイは必要な栄養をほぼ満たすことが出来るのである。

・体内の健康維持

実はアリクイは胃酸をほとんど分泌することが出来ない。そこでアリを食べることで蟻酸を取り入れ、胃酸の代わりとしている。phは強い酸性である1.2程度で、これにより胃の微生物や細菌の数は適正に保たれている。

ただアリクイがアリを消化するのにはかなりの時間を必要とする。一日のうちの16時間はほとんど動かずじっとして、エネルギーの消費を抑えていると言われている。この生活スタイルはナマケモノとよく似ている。(参考記事:ナマケモノに生える苔は激レア!?その金額は驚きの●●万円。

野生から来たアリクイには"アリ抜き"をする

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ところで、元々野生のアリクイを動物園で飼育する際に一日に30000匹ものアリを餌として与えることは現実的ではない。そこで、野生から来たアリクイにはまず最初に “アリ抜き" が行われる。

これは文字通り、"アリを食べさせない期間を設ける"という意味である。

このアリ抜きをすることでアリへの依存性を失わせていき、同時に飼育下でも与えることの出来る果物や鶏肉、ヨーグルトを混ぜた酸性の液状の食べ物に馴らしていく。

アリ抜きは動物園にやって来てから2カ月ほど行われるが、この期間は非常に危険である。蟻を食べることの出来ないアリクイは獰猛な気質となり、ケージ内で暴れ回ることがしばしばである。また実際にいくつかの動物園では飼育員がアリクイの鋭い爪に襲われて怪我をする事件が何件か起こっている。

アリクイを飼育するのは一筋縄ではいかないのである。

研究者の見解

アリクイの生態について、長年アリクイを研究しているサウパロ大学(メキシコ)のロウ教授は次のように語る。

アリクイは非常にユニークな生態を持つ面白い生物と言えます。彼らの頭がアリの事でいっぱいになってしまうのは、メタノールを持つアリを主食として選んだ悲しい宿命とも言えますね。

ロウ教授

アリクイは今日もどこかでアリを食べている。

※この記事には架空の内容が多く含まれています※

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Posted by ずぅ