コウモリが家畜を連れ去る!?その見事な連携と理由。

2022年7月7日

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夕暮れの空を飛んでいるのがよく見られるコウモリ。

彼らの主食は主に小さな昆虫であるが中には血を吸う種類も存在している。

そしてそのために、家畜を連れ去ってしまう種類もまた、存在している。

「夕方以降は子牛や子豚は外に出してはならない」

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場所は東南アジアでインドネシア諸島に属するタラプ島。熱帯気候で、ニワトリやブタなど様々な家畜の姿が見られるタラプ島はのんびりと時間が流れていて観光地としても人気であるが、島民たちだけが知っているちょっと変わったルールが存在する。

それは、

「夕方以降は子牛や子豚は外に出してはならない」

というものである。全く聞き馴染みのないこの決まりごとを知った人の中には、土着信仰や宗教が関わっているのかと考える人もいるだろうが、そういう訳でもない。理由はもっと単純である。

ずばり、 “コウモリに攫われるから" である。

家畜を攫うコウモリ

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犯人は “タラプチスイコウモリ" と呼ばれるタラプ島の固有種で、体重1kg、体長30cm、翼を広げた長さは1m30cmにもなる大型のコウモリである。このコウモリは3000匹にもなる群れを形成し、昼間は洞窟の中で天井からぶら下がり眠っているが、夕方になると餌を求めて一斉に夕空に繰り出す。

タラプチスイコウモリの餌は動物の生き血である。なので家畜などは格好の的になる。

彼らの狩りの仕方はコウモリの中でも非常に独特である。

獲物を探す際はまず大きく反りがった鼻で動物の出す熱を感じ取り、獲物を見つけると鳴き声を上げて仲間に知らせると共に示し合わせたかのように急降下して一斉に取り付く。さらに鼻のセンサーで暖かい血液の流れる血管を探し当てると、カミソリのように鋭く尖った上顎の犬歯で噛みつき、"ジアロネート" と呼ばれる物質を唾液に含ませて血中に送り込む。

“ジアロネート" は強力な麻酔薬である。この物質を大量に体内に取り組んだ動物はたちまちに意識を失ってしまう。

こうして獲物が意識を失っている間に犯行が行われる。

なんとタラプチスイコウモリたちは、その鋭い鉤爪を獲物の皮膚に食い込ませて力強く掴みみんなで一斉に羽ばたくことで獲物を浮かせ、自分たちの巣である洞窟へと運んでしまうのである。

ただそうは言っても、運べる獲物の大きさには限界がある。だから家畜が襲われるとしたら、身軽な子牛や子豚なのである。

連れ去る理由

タラプチスイコウモリが獲物の血をその場で吸わず、わざわざ洞窟まで持ち帰るのにはいくつかの理由があるとされている。

1つ目は安全性である

空を飛ぶことでコヨーテやピューマと言った肉食獣に横取りされずに済み、我が子を守ろうとする親牛や親豚の攻撃からも逃れることができる。さらにタラプチスイコウモリは、狩りに参加しなかった者たちも狩りの間は近くの茂みに待機していて、運ぶときになったら一斉に合流して巣に戻るために空にはものすごい数の黒い大群が形成され、ワシなどの猛禽類も容易に手を出すことは出来なくなる。

また運び先である洞窟の中はコウモリの糞で埋め尽くされ発酵する熱で温度と湿度が恐ろしく高く、昆虫も無数に蠢いているために、外敵の侵入はまず起こり得ない鉄壁のアジトと言える。

2つ目は仲間に分け与えるためである。

タラプチスイコウモリは集団で行動することからも分かる通り社会性が高く仲間意識が強い。それゆえ彼らは獲物を捕らえると、群れ全体で分け合うのである。

また、彼らは血液凝固剤として「ヒビルシン」という物質を獲物の体内に注入しながら血液を吸っていくわけだが、獲物の体内の血液量には当然限りがある。そこで血を飲むことが出来なかった個体がいた場合、たくさん飲んだ個体がその個体へと飲んだ血を口移しで分け与えると言った行動も確認されている。

さらに彼らの食べ残しは洞窟で生きる生物たちにとって何よりのご馳走である。

タラプチスイコウモリは血しか吸わないために獲物の肉や皮は余り、それらは全て洞窟の昆虫や微生物たちの貴重な食糧となる。勿論、タラプチスイコウモリたちの糞や尿も昆虫たちにとっては食糧である。

もはやコウモリが洞窟の環境を形作っていると言っても過言ではないのだ。

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専門家の見解

このタラプチスイコウモリの習性について、インドネシアで長年コウモリの研究を行っているスシ・フェランダ氏は次のように語る。

彼らの集団行動の能力の高さは驚異的なものです。また最近の研究では彼らに “恩" の概念が存在し、食べ物を分けてもらったことをよく覚えていることも明らかになり、彼らの社会性の高さはますます興味深いものになっています。

フェランダ氏

ヴァンパイアもびっくりなコウモリである。

※この記事には架空の内容が多く含まれています※

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Posted by ずぅ