【人間の言葉を喋るキツネ】「狐につままれる」という言葉の由来とは。

2022年8月27日

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「狐につままれる」という言葉をご存知だろうか。意味は、狐に化かされる事から転じて、意外な事が起こって何が何だか分からず呆然とする様を表している。
では、狐に化かされる事など実際にあり得るのだろうか。
本記事ではその真相に迫る。

狐につままれる

江戸時代。日本人は確かに狐に化かされていた。特に竹ひごを編み込んで作られたカゴの中に、弁当や土産を入れて旅をしていた旅人は狐によく化かされていた。
それは山中や峠などの霧の立ち込める場所で起こる。

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旅人が霧の中を歩いていると突然、「おーい、おーい」と霧の奥から男性が自分を呼ぶ声が聞こえてくるのである。
旅人がその声に問い返しても「おーい、おーい」という言葉が繰り返されるばかりである。
やがて旅人の多くはその声に気を取られて、立ち止まる。
するとその瞬間、霧の中から狐が突然に現れて、旅人の持つ食べ物を入れた籠を奪い、そのまま逃げて行ってしまう。

多くの旅人はその出来事があまりに一瞬過ぎて驚き、呆然と立ち尽くす。

旅人が多くいた江戸時代の日本では、こういった体験が日常的に起こっていた。

これが「狐につままれる」という言葉の元になるエピソードである。

人の声を真似る狐

霧の中から旅人を呼んでいるのは誰なのか。

その正体は、驚くことに狐である。

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狐の鳴き声には様々な種類がある。仲間に警戒を知らせる声や、遊びに誘う声、親に甘える声、不安な声など。声の種類によって周波数も大きく変わるのだが、その中でも仲間を呼ぶ声を霧の中で響かせた際は、空気中の水滴に周波数の多い音が吸われて、周波数の低い音(すなわち比較的低い音)だけが霧の中を伝わっていくことになる。

この伝わる狐の鳴き声が大体150hzほど。これは成人男性の一般的な声の周波数に近い値である。また人間が人間を呼ぶような絶妙な長さで繰り返される。

そのため旅人の多くは霧の中から聞こえてくるキツネの鳴き声を男性の声と勘違いしてしまう。そうして声担当の狐が人の気を惹きつけている間に、他の狐が食べ物を奪っていく。

つまりこれは、人間の食糧を奪うために利口な狐が生み出した巧妙な作戦なのである。

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また狐は人を騙す経験を積み重ねることで、自らの鳴き声をより人の声に似せる方法を心得ていく。

例えば江戸時代の後期、栃木県の黒根山には人を騙すのに非常に手慣れた狐が住んでいて、霧の中から聞こえるその鳴き声はもはや人間の男性の声と全く一緒であり、何人もの旅人が騙されたという。そうした理由から当時人々は畏怖の意味もこめて黒根山のことを別名:雄狐山とも呼んだ。

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しかしながら現在では狐が人を騙す事は無くなった。

狐の生息する自然環境の減少の他、車や自転車などの移動手段の発達、江戸時代のように竹籠に食べ物を入れて持ち歩かない、などが理由である。

今は狐が人を騙すのは過去の話となり、「狐につままれる」という言葉だけが現代に残っている。

研究者の見解

江戸時代の狐と人の関りについて、日本の民俗学者である東奥大学の山本博信准教授は次のように語る。

江戸時代、人々はよく狐に騙されていましたが狐に対して不快な感情を持つことは無く、仲間と飲みの席で語るような笑い話として捉えていたようです。現代では体験できない現象なのが少し残念ですね。

山本准教授

人を騙す狐は、もういない。

※この記事には架空の内容が多く含まれています※

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Posted by ずぅ